世界中で様々な仮想通貨流出事件が起きています。マウントゴックス事件は、仮想通貨流出事件の中でも最も有名です。
この事件では何が起きたのか、仮想通貨の歴史にどのような影響を与えたのかみていこう!
マウントゴックス事件とは
マウントゴックス社(株式会社Mt.Gox)はもともとオンラインゲームのトレーディングカードを売買するための交換所として誕生しました。
その後2010年頃からビットコイン交換所に事業転換し、2011年にはマルク・カルプレス氏がCEOに就任しました。
取引所としての実績は高く、2013年にはマウントゴックス社は世界のビットコイン取引量の約70%を閉める取引所に成長しました。
このようにビットコインの取引所としての地位を確立したマウントゴックス社ですが、2014年に巨額のビットコインと顧客からの預り金が消失するという事件が起きます。
これがマウントゴックス事件です。
この事件はマウントゴックス社のサーバーがサイバー攻撃を受け、ビットコインで約75万BTC(当時のレートで約480億円)と、預り金約28億円の合計約500億円もの資金が流出したというものです。
<サイバー攻撃とは>
インターネットなどのネットワークを通じて、サーバやパソコン、スマートフォンなどのコンピュータに対して、保存されてるデータの改ざんや破壊、窃取などを行う行為です。
取引量が多かったりと目立つ取引所はハッカー達も狙いたくなるんだろうなぁ
事件の原因
マウントゴックス事件は、発生当初サイバー攻撃によるハッキングによるものと考えられていましたが、操作が進むにつれ、マルク・カルプレス氏自身の口座残高のデータ改ざんやユーザーの預金を着服した形跡が見つかり、マルク・カルプレス氏は口座情報の改ざん容疑で逮捕され、さらに業務上横領の疑いで再逮捕されました。
しかし、ビットコインと預り金の消失はあくまでハッキングによるものと、マルク・カルプレス氏は主張しています。
事件の真相がそのとおりであったとしても、ハッキングによって仮想通貨が流出してしまう状態(インターネットに接続された状態)で管理されていたことが大きな問題だったと言えます。
取引所は常にサイバー攻撃の危険にさらされているため、すぐに取引を行うもの以外はオフラインで管理するなどといったセキュリティ対策を講じる必要がります。
また別の要因としてはマウントゴックス社のずさんな資産管理体制も指摘されました。
マウントゴックス社は自己資産と顧客からの預り資産を明確に区分せず、顧客の資産を自社の経営のために利用できる状態で管理していた可能性があるとされています。
事件のその後
マウントゴックス事件の後、政府は利用者保護の観点から法整備を進め、2017年4月1日に改正資金決済法が施行されました。
この法律では、
- 仮想通貨交換業者は金融庁の審査を受けて登録をしなければならない
- 登録業者は資本金の額が1000万円以上あり純資産額がマイナスであってはいけない
- 自己資産と顧客資産の分別管理を義務づけ
- 管理状況は公認会計士または監査法人による外部監査を受けなければならない
これらの事項が定められています。
新しい技術やシステムはまだ未熟だから、色々と事件が起こる。
その度に徐々に法整備が進んでいくんだね。
そうだね。大きな事件が起こると再発防止のためにコイン自体もハードフォークやソフトフォークを行なって、よりセキュリティが強くなるよ。